俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません





「……は?」

「馬鹿じゃねぇの。奇跡とか夢とかさ、お前本当に頭可笑しくなったんだな。あーそっか。その子か。その子に感化されちゃったんだな、可哀想に」

「……どういう意味だよ」

俺は光を睨みつけた。
だけど、光も薄ら笑いを浮かべながら目の奥で俺を睨み、

「言っただろ?所詮、‘障害者’だって。やってらんねえわ。絶対無理だから。こんな障害者と組んでもさ、俺らまで変人扱いされちまうじゃねえか。この子がどんだけ歌が上手くったって、障害者だから向けられる目は哀れみ、同情、それだけだ。違うか?」

「光さん、それは何でも言い過ぎじゃ……っ」

「伊月、お前俺に文句あんのかよ」

「っ……」

止めに入った橋本も、光がグッと睨むと何も言い返さなくなった。


ちらっと音生を見ると、何を言われているか聞こえていないはずなのに、ものすごく悲しそうな顔をして光を見つめている。
その表情に、俺の中でどこかの我慢糸が切れ、気付いたら机に置いてあったコップを払い除けるように倒していた。

「てめえ……っ」


だけど、急に後ろから二つの細い腕に抱き締められて、振り上げた拳が宙で止まる。