俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません



だけど、これもすごい。
こうやって一人でやっていたのかと思うと、やはり尊敬する。


これなら、光も……

大きな期待と自信を持った目で光を見ると、光も驚いたような表情を浮かべていて、俺はしめたと思い、喜びと少しの優越感から微笑んだ。


「おい、光。何とか言えよ。障害者なんて関係ねえだろ。音生はすごいんだよ。自分が恥ずかしいだろ?奇跡だとか夢だとかそんなもんも、簡単に起こせそうな気がしてくるだろ。音生といるとさ」

すっかり立場が逆転したのを感じた俺は、ここぞとばかりに光に語り続ける。
光は下を向いて、何も言わずに俺の話を聞いている。

俺もそこまで子供じゃない。
今なら光の失礼な言動も許してやる。


俺は微笑みながら、

「おい、光。何とか言えって…」

「……っふ。はははははっ、ははっ!あー、おもしろ」

いきなり笑い出した光に戸惑い、俺は上げた口角さえ下げられない。


そんな俺に、光は依然として嘲り、

「なあ、椿。お前、楽しかったか?」

と言い、背もたれに両肘を乗せて凭れ掛かる。