「で?って……」
音生の歌声を聴いて何とも思わないなんて、俺には信じられない。
俺はこの声を初めて聴いた時、何か世界が変わった気が、そんな気がしたほど引き込まれたのに。
驚き固まる俺を見て、光は嘲るように笑い、足を組み替えた。
「お前さ、馬鹿になったんじゃねえの?」
「どういうことだよ?」
「まあ確かに、この歌声はすげえなって思うよ。耳が聞こえないとは思えないくらい上手いし。でもさ?所詮、障害者じゃねえか」
くすくすと厭らしく笑う光に抱く怒りは、そろそろ限界に達しかけている。
どうしようもない苛つきで拳をぎゅっと握りしめた時、グッと袖を引かれ、俺は我に返った。
『何の話をしているの?』
隣を見ると、音生が心配そうな顔をしてこちらを見つめていた。
「あ……」
音生に何て言えばいいのか、光に言われた言葉をそのまま伝えると音生を傷つけるのではないかと思い、俺は何も答えられずに目を泳がした。
すると、そんな俺の様子から自分にとって悪いことを言われたと察したのか、音生がまた別の紙に素早く何かを書き始めた。


