光はまた何か不満を言いかけていたが、俺はそれ以外は何も言わず、ただ歌を聴いてそのたった2小節を待った。
「音生、」
俺がトンと音生の肩を叩くと、音生はすぐに歌い出した。
「みえーな…」
タイミングばっちりで聴こえてきた音生の歌声は、やはり最高に綺麗で、改めて俺にこの才能は何かワクワクするものを与えてくれると思わせた。
たった2小節、されど人を大きく変える力を持った2小節が終わると、俺は演奏停止ボタンを押して、光の方を向く。
「……どうだ?」
こいつ凄いだろ、と今度は俺が大きな態度で自慢げに光を見た。
視界の中心にいる光の隣で小さく映る橋本の目はキラキラ光っていて、感動で口も塞がらないという感じだ。
…しかし。
「で?」
光の反応は意外にも冷たいものだった。


