だから、到底人にものを頼む時だとは思えないような体勢で偉そうに言えるのだろう。
「…分かった」
だけど、これは必要なことだから、俺は予め持って来ていた紙に光の言葉を書き写した。
それに付け足して、
『今はお前の良さを分かっていないからこんなことを言っているけど、絶対反省させられるから、今は耐えて』
と書いた。
音生は不服そうに顔を歪めたが、何とか堪えてくれた。
『音生、前公園で歌った歌、colorだっけ?』
『そうだよ、color』
俺はとりあえずデンモクを手に取って、この前一緒に練習していた歌の名前を打ち込む。
あの後改めてネットで原曲をしっかりと聴いてみたが、俺には音生が歌う方がずっと良く思えた。
音生はそんな俺の手元をじっと見つめていた。
その場には、ただただ画面から、よく見るアーティスト同士の談笑が聞こえていた。
俺が歌を入れると、途端に画面が変わり、曲が始まる。
『何か指示したほうがいい?』
そう問うと、音生は、
『フレーズが始まる時に肩を叩いて』
と言った。
『了解』
その後、今度は光の方を向いて、
「一ヶ月練習してワンフレーズ歌えるようになって、その後俺と半日かけてまたワンフレーズ練習したんだ。そこを聴いて欲しいんだ」
「は?ワンフレーズ?」


