スマホの連絡先をスクロールしながら、俺はふと思い出す。


「そういえば、光(こう)って確かギター弾けたよな。知り合いにドラム出来るやつもいるかな……」


中学時代、大した能力もないくせに、妙に気取っていて態度の大きい同級生がいた。
そいつと俺は、いわゆる仲良しグループと呼ばれる集団が同じだったため、それなりに仲良かった。

それが、光だ。


早速俺は、中学卒業後初ではないかと思うほど、久々に光にLINEを送った。

『今週の日曜日、暇?話があるんだけど』と。






日曜日。
今日は、光とその友達、そして音生の四人で会う。


光には大まかではあるが、ある程度既に伝えてある。

公園で出会った女の子とバンドを組むことになったこと。
しかしメンバーが足りないため、ドラムがほしいこと。
出来ればギターもほしいこと。
そのため、ギターの弾ける光に声を掛けたこと。
ドラムが出来る知り合いがいれば連れて来てほしいこと。

唯一話せなかったのは、音生の耳が聞こえないことだけだった。
いや、話さなかったと言う方が正しい。

話した所で、耳が聞こえない奴に歌なんて歌えるかと言われるに決まっていると思ったからだ。
だが、実際に音生が歌っている所を見れば、偏見なんて捨ててちゃんと分かってくれるだろう。
だから、今日言おうと思っている。