ぎゃふんと言わせに君は来る



 昔から、私はなりたいものなんて浮かんだ試しがなかった。

 私の家は裕福とは程遠く、一般家庭というその言葉に当てはまるには当てはまるが、という感じだったのだ。だからといって進学出来るかといったら、微妙だろう。勉強が出来て、いくら先生が進学をすすめても、学費だとか、そういうのは先生が出してくれるわけではない。進学したらそれっきり。

 御来屋がなりたいという、その夢が眩しくて、羨ましくもあって、嫉妬のようなものが混ざっていた。そして、あの御来屋は本気なのだろうか?という疑いも少しあったのだ。



「なら先輩、もし俺がガチで格好いい警察官になったらデートしてください」
「今じゃないのか」
「今でもいいですけど」
「えーいそがしい」
「どこがっすか」
「えっと、ほら。この辺」
「それ手!ただペン持ってるだけ!というか断るにもひでぇ!」



 ―――それから、だ。

 あの御来屋は人が変わったかのように、勉強し始めたのは。