ぎゃふんと言わせに君は来る



「ねぇ先輩」
「ん」
「俺って馬鹿ですよね」
「うん」
「そこは否定してくださいよ。泣いちゃうよ」
「どうかしたの」
「お前みたいなのが警察官になんかなれないって言われて」
「……え?」



 椅子を引きずる音。目の前に座る御来屋を見た。今、とんでもないことを聞いた気がするんだが。
 


「俺、警察官になりたいんスよ」
「…へぇ」
「疑ってるな?まじですよまじ。俺、テレビの警察密着番組見てるんですからねー」
「ああ、あれ面白いよね」
「おお、先輩も見てるんじゃないですか~」



 しかし、と思う。
 御来屋が警察官か、と。


「そのこと話したら、担任がお前には無理だろーって言うんだ。まあ、俺馬鹿だからだろうけど、腹立つじゃん。決めつけられてさ」

 

 確かに。
 そりゃあ、人の好き嫌いはあるだろう。この人は合うけどって。

 大っぴらに嫌いです貴方が、だなんてはっきり言える人間は多くない。それは、嫌いであっても一緒にやっていかなくてはならないことのほうが多くて、出来るだけ近寄らないよう、波風たてないよう過ごすのが大半ではないか。

 でも。
 あからさまに、嫌いな人なんだろうなとわかる人がいる。