レオの経営するパティスリーは「Louna Romane」。
 名前の由来は、お祖母さまとひいお祖母さまのお名前なのだそうだ。

 建物は100年以上前のもの。アンティークな家具や雑貨が飾られてあって、色とりどりのマカロンが可愛らしくマッチしている。もちろん女性に大人気。

 わたしはてっきり裏方で洗い物や掃除をさせられるのかと思ってたのに、なぜかアリスのような衣装とフリフリのかわいいエプロンを渡された。
 他の定員たちはみんな美人で似合ってる。でも、わたしが着たら笑われるんじゃないかしら?

 そう思いながらもしぶしぶそれを着て店に立つと、

「カワイイ!」「カワイイ!」
と、わたしを見てみんな口々に言うではないか! 

「もしかしてからかってるの?」
 わたしは独り言のようにそう呟いた。

「いや、からかってるわけやあらへん」
「え?」
「日本はパリでも人気なんやで。ほら、ドラ○もんとか、セーラー○ーンとかな」

 ああ、そうか、日本のアニメはどの国でも人気よね。

「それにホンマによう似合うてる。カワイイで」

「……!」

 急に褒められてドキッとしてしまった。
 ああ、また、わたしったら…!