どっすーん


 わたしの押し出しが見事決まり、レオは床に倒れ込んだ。

「な、なんてことをするんですか!!」
 恵斗さん以外の人と、キスだなんて!

 わたしはショックで動揺していた。

 しかし…

「あ、あれ? レ、レオ…?」

 レオは倒れたまま動かない。

 やばい! ちょっとやり過ぎた?
 助けてくれた人を、わたしったら。キスなんて、パリじゃ日常茶飯事のことで、深い意味はなかったのかも。
 申し訳ない気持ちがわいてきた。

「あ、あの、ご、ごめんさない…。痛かった?」

「ほんまや。えらい目におうたわ」

 は!?

「キスくらいでぎゃーぎゃーとオオゲサな。もうちょっと大人しいオナゴやと思たんやけどな」

 そう言ってむっくりと起き上がったレオ。

 さっきまでの王子様のような優雅な様子はどこかにすっ飛んでしまった。
 
「レオ、ど、どうして、大阪弁なの…?」

「大阪弁やあらへん。京都弁や」

「は、はぁ…」

「おじいちゃんがえらい日本、特に京都贔屓よってに。オレは小さいころから何度もいっしょに通うてたんや。高校生のころには1年間ホームステイしたこともあるんや」

 それで京都弁がペラペラなのね。なっとく! って感心してる場合じゃないっ!