「パリは小さな町だから。大丈夫。不安になり過ぎないで。リラックスして」
「はい、ありがとう」

「ちょっと待ってて」
「は、はい」

 レオはウインクをして部屋から出て行った。

 レオの言う通りだ。泣いたってはじまらない。大丈夫。恵斗さんと無事に会えると信じよう。
 そう思い、背筋をシャンとした。そして改めて部屋を見る。
 天井には素敵なシャンデリア。
「すごい…。あっ!」
 窓を見ると、エッフェル塔が!
「素敵!」
 思わず声が漏れる。恵斗さんもすぐ近くでエッフェル塔を眺めているかもしれない。こうしちゃいられない。恵斗さんを捜しに行かなくっちゃ。

「お待たせ、ココ」

 甘い香りと共にレオが戻って来た。
 手に持ったトレイの上には色とりどりのマカロンが。

「さあ、召し上がれ。紅茶もどうぞ」

「え、そんな、いいんですか」

 レオは紅茶も淹れてくれた。

「どうぞ」

「ありがとうございます!」

 助けてもらったうえに、紅茶とマカロンまで。申し訳ないと思いつつ、目の前のマカロンにわたしは釘づけ。
 だって、おいしそうなんだもん!

 わたしはお辞儀をし、赤いマカロンに手をのばした。

「それはパッションフルーツのマカロンだよ」

「へえぇ」

 わたしはその愛らしい形と色をしたマカロンを眺め、ぱくりと一口。

 カリッ サクッ

 はあぁ~
 かわいいだけじゃなくて、おいしい!

 次はグリーンのマカロン。

「これは、何の味?」

「それはサボテン」

「さ、サボテン!?」

「大丈夫だから、食べてごらん」

 おそるおそる口に入れる。少しだけ苦味があるけど、これも甘くておいしい!