大きなベッド。
 あたりを見回すと、パステルカラーの壁。
 白い家具。
 素敵なお部屋…。

「マドモアゼル」

 えっ!?

 声がして、びっくりして振り返った。

 そこには、金髪で青い瞳の美青年が。

 うわっ! だ、誰? この恐ろしく美しい男の人は!? どうしよう。フ、ランス語、一言も話せないのに!

「ニホンゴでダイジョウブ」

「えっ」

「ニホンのマドモアゼルだね」

「は、はい!」

 彼は片言だけど流暢な日本語で優しく語りかけてくれた。

「空港のそば倒れてたね」

「あ…」

 そう、わたし、恵斗さんとはぐれてしまって…
 また不安が襲ってきて、泣きそうになった。
「わたし、迷子になってしまって…」

「おお、泣かないで…」

 彼は優しくわたしの肩に手をかけ、慰めてくれた。

「大丈夫。力になるよ」

 彼の言葉でホッとした。よかった。親切な人に助けてもらって。

「ボクはレオナルド。レオって呼んでくれ」

「レオ…」

「キミは?」

「あ、わ、わたしはココといいます!」

「ココ」

 そう言って青く澄んだ瞳をこちらに向けた。

「カワイイね」

 ドキッ!

 わ、わたしったら、恵斗さんという恋人がいるのに!
 こんなにときめいたりして!