1回戦はシュークリームだ!

 わたしも恵斗さんを手伝い、いっしょにシュークリームを作った。

 恵斗さんは手際よく、焼けたシューに生クリームを施していく。仕上げにかけたパウダーシュガーが雪のようで恵斗さんらしいかわいらしいビジュアル。
 シカオのシュークリームは生地にココアが練り込んであり、黒いシュークリームとなった。

 絶対に恵斗さんのシュークリームが選ばれるはず!

 2つのシュークリームが出来上がった時点で、やって来た一人目の客が選ぶというルールだ。

 客はすぐにやって来た。20代後半の、おかっぱの黒い髪の女性だった。
「いらっしゃいませ。お客様、もしよろしければこの2つを食べ比べてみて、どちらが好きか教えていただけませんか」
 シカオの店の店員が客にそう言った。

「ええ、いいですよ。2つもいただけるなんてラッキーだわ」
 女性は喜び、まずは恵斗さんの白いシュークリームを。味わったあと、シカオの黒いシュークリームを口に入れた。


お願い恵斗さんのシュークリームを選んで。


 わたしと恵斗さんは店の奥から、そう祈った。


「うーん、そうねえ。こっちの方がおいしいわね」

 女性が差したのは、黒いシュークリーム。

 シカオの方だ!

 まさか! 恵斗さんが負けてしまうなんて!!