シカオの挑発にやすやすと乗るなんてことは恵斗らしくない。

 でも、でも…。

 せっかく恵斗さんが思いを込めて作ったケーキが売れ残ってしまうなんて、

 つらい。


「恵斗さん!! 受けましょうよ!! ケーキ対決」

「ココ…」

 恵斗さんは驚いたようにわたしを見た。

「アイツの言いなりになるなんてシャクだけど、こうなったらケーキで決着つけちゃいましょ! 恵斗さんなら絶対負けないもん!」

 わたしがそう言うと、恵斗さんは少し思いつめたように黙った。でも、すぐにわたしを真っ直ぐ見つめて
「よし! オレの実力見せつけて黙らせてやる!」と、言ってくれた。

 それでこそスイーツ王子!


 そして決戦の日。

 場所はシカオシブヤ。シカオの提案したルールはこうだ。
 
 ケーキを買いに来た客にランダムで審査員になってもらい、どっちのケーキがおいしかったか選んでもらう。
 3種類のケーキを作り、勝負は3回。

「オレが勝ったら土下座して、悪魔のショコラロールケーキはオレのケーキだったって公表しろよ!」
「ああ、いいよ。おまえが勝てばな!」

 二人の間に火花が散る。

 負けないで、恵斗さん!