5月。
校外学習が2週間後に迫っていた。

「校外学習についてだが班を決める。その後で係を決めるからなー」

佐伯先生が黒板に係名を書いていく。

「係は統率係と保健係、そして整備係と食事係の4つがあるから自分のやりたい係を班の人と決めてくれ」

はぁ、今日も相変わらずかっこいいなぁ。
腕まくりしてるのがさらにいい。

今日は天気が良く日差しが強いため少し気温が
暖かめなのだ。

たしか5月下旬なみの暖かさとか言ってたっけ。

朝のお天気お姉さんを思い出す。

と言っても、5月下旬の暖かさが分からない。

「おーい、横澤?」

ぼーっとしてる私の顔を不思議そうにのぞき込んでいる先生。

ん…先生?

「え!先生!!!?」

先生に驚いたのはこれで3度目だ。

「俺ってそんなに影うすいっけ?」

先生は首筋をポリポリとかく。

「そんなことはいいから早く班決めるぞ!」

ぽんっと私の頭に手を置いた。

どき。

今、頭に手置かれた。

まだその感触が残ってる。

先生…

また先生を好きになっていく。

先生は他の生徒の輪の中に入って何かを
話している。

あぁ、先生。またぽんってしてくれないかなぁ。

私がうっとり先生を眺めているところに

「あーみこが恋してるー」

クスクス笑い、藍が私の席にやってきた。

「だ、だって!いま!…先生が頭、ぽんって…」

「はいはい、ノロケはよろしい」

藍が校外学習のプリントを見る。

校外学習は学校から約2時間のとこにある
森の中で行われる。
森の中といっても山奥ではない。
ちゃんとしたホテルはあるし、電気も通っている。

そこで山について勉強するんだけど
今どき山について勉強する学校はあるのかと
疑問を抱くことが多々あった。

「山の勉強ってなにするんだろう?きこりとか?」

「わかんない。狸とか狐の生態とかじゃない?」

「森の中で探検するんだろ!」

クラスの意見はこんな感じで…。

校外学習はあまり興味を持ってなかった。

「なぁなぁ!」

4人の男子が私の席にやってきた。

「えっと、横澤たちと班組みたいんだけどいいかな?」

照れくさそうに、まるで告白でもしてるかのように誘ってきたのが級長である浜中くん。

その中には大口くんと中川くん、山本くんの姿があった。

クラスの中心的な存在が集まったグループだった。

「いいよー?あと女子1人だよねー」

藍が口元をおさえて教室の中を見渡して誰かを探している仕草をする。

「あ!美夢(みう)ちゃん!」

男子がおぉ!とした顔になる。

そう、美夢ちゃんこと、高橋美夢ちゃんは
クラスの中で1番美人であり、男子から絶大な人気
がある女の子。
でも口ベタなのがアレだけどね。

「え…っ入っていいんですか?」

「いいよいいよー!んじゃ班はこれで決まり!」

班員はこの7人に決まり、係を決めることにした。