桜舞い散る四月上旬。

俺──天城 悠舞(あまぎ ゆうま)は、
友達の真野 遥斗(まの はると)と一緒に
神成学園へ向かっている。

今日は入学式。
高校で俺は、青春を謳歌する!

「……ま。」

とりあえず、友達作って…

「悠舞ってば!」

「はいっ!……何だよ。」

「さっきから呼んでんのに…。何考えてたの?」

「ごめんって!んー、彼女欲しいなーって考えてた。」

「いつもそう言うね。」

「事実だからな。お前はイイよな。」
こいつには、彼女がいる。…正直、羨ましい。

「そんな事ないよ。意外と大変だって。」

「へーそうですかー…………っ!」

「本当だって!…って、どうしたの?」

俺の視線の先には、桜を見ている女性。
風で揺れる長い黒髪も端整な顔立ちも、綺麗だった。

「……………。」
俺は、見とれてしまっていた。

「……ふーん。悠舞、あの娘に惚れたでしょ?」
黒い笑顔で遥斗が聞いてきた。

「なっ!……あぁ。」

「ふっ…やっぱりな。」

「あ?笑うなよ。俺には無理だって言いたいんだろ?」
自分で分かる。今まで女子との仲は良くなかったから。
……女子に嫌われる体質なのかな。

「わりぃわりぃ。そこまでは言ってねぇだろ、ははっ。」

「いや、その笑顔で分かるわ。俺の反応で遊ぶなよ…!」
こいつのたまに出るドSはどうかしてる。

「いや、悪かったって。…というか、また変なことはしないでよね?」
急に真剣な顔になって遥斗が言う。

「…………それは、分かってるよ。」
その言葉に俺は頷くしかなかった。

「それならいいんだけどさ。」

「…………………。」

「ちょっと、まさかこれだけで気、落さないでよ?」
呆れたように遥斗が言う。

「分かってる。行こうか。」
正直、少し心にきたが気にせず進む。

「え、うん。」


学校まで2人はたわいもない事で普通に喋った。



そして……