「あの、先輩」
「なあに?」
私は奥野 桜先輩に問いかけた
「さくら先輩はピッコロオーディションについて知ってるんですか?」
「うん。知ってる」
「だって私にも先生聞いてきたから」
「、、、断ったんですか?」
「うん。だってフルートの方がいいし」
それはどうなのか
本心は少し違うような気がした
だって先輩全員ピッコロしたかったんだし、、、
でもあえて言わないことにした
「そうなんですね。」
「、、、ここだけの話、まりちゃんしずかのことどう思ってる?」
「えっ?」
てっきり自分が思っていることを言うのかと思っていた
「なんかしずかとまりちゃんって仲悪そうだし」
「ぇぇ?!」
まさかそう思われていたとは
私は普通だけど、しずか先輩がどうなのかは分かんないな
「アンコンの時からなんとなくそーかな?って思っちゃってて」
「そんなことはないと思うんですけど、、、」
「そうなの」
これはチャンス?!
「先輩はどう思ってるんですか」
「え?!あー、私はねぇ。」
先輩は少し困ったような顔をしてコソッと耳打ちした
「最近ちょっと、酷いんじゃないかな?って」
随分オブラートに包んだな、と思った
言ってることと顔が一致していない。
さくら先輩は苦虫を噛み殺したような顔をしていた
ここまで言ったら止まらないとかんばかりに愚痴を撒き散らす
「いや、ね。ピッコロの練習もいいんだけど、フルートもしてもらいたいわけよ。そっちが本業じゃん?なのにしずかったら、、、」
飛びてできた言葉に口が空きっぱなしだ
まさかさくら先輩、そんな風に思ってただなんて、ね
「ねえ、まりちゃん、腹立たなかった?」
「へ?!」
突然話を振られ挙動不審になる
「ほら、この前さ、まりちゃんの前で『ピッコロ出来てきたかもぉー』とかって抜かしてたじゃん!」
興奮気味に訴えるので「はぁ」と相槌を打つことしか出来なくなってしまった
こんなさくら先輩を見るのは初めてのことだった
「先輩って、しずか先輩のこと、嫌いなんですか?」
「うーん。それとはちょっと違うかな。今、調子乗ってんじゃないの?って思ってるだけ」
何故だかその理由に私はしっくりきた
「あぁー」
ため息混じりの私の言葉に、さくら先輩は苦笑いした
「ごめん。喋りすぎたかな。びっくりした?」
「、、、まぁ、それなりに、、、?」
「あはは。まぁ、なんでもいいなよ、話、聞くからね」
「ありがとうございます。」
先輩の思ってることが知れて、少しホッとしたように感じた
「あ、さくら先輩!」
少し間を開けて振り返った先輩がまた歩いてくる
「?なぁに?」
「先輩は、オーディション、どっち応援してるんですか」
なんとなく、聞きたかった
答えはどっちでも良かった
私だと言われてもしずか先輩だと言われても頑張るつもりだし。
でもさくら先輩の言葉は予想外のことだった
「私は一生懸命練習している人を、応援するなぁ」
私はドキッとした
悪い事なんてしていないけど、図星だったかのように
やっぱり、油断しているのだろうか
冷たくてジトっとした汗が背中を流れる
おかしいな、寒い冬なのに
「やっぱり、努力が報われてほしいもんね」
そう言って軽く笑ってみせたその横顔は、酷く影を帯びて見えた
「なあに?」
私は奥野 桜先輩に問いかけた
「さくら先輩はピッコロオーディションについて知ってるんですか?」
「うん。知ってる」
「だって私にも先生聞いてきたから」
「、、、断ったんですか?」
「うん。だってフルートの方がいいし」
それはどうなのか
本心は少し違うような気がした
だって先輩全員ピッコロしたかったんだし、、、
でもあえて言わないことにした
「そうなんですね。」
「、、、ここだけの話、まりちゃんしずかのことどう思ってる?」
「えっ?」
てっきり自分が思っていることを言うのかと思っていた
「なんかしずかとまりちゃんって仲悪そうだし」
「ぇぇ?!」
まさかそう思われていたとは
私は普通だけど、しずか先輩がどうなのかは分かんないな
「アンコンの時からなんとなくそーかな?って思っちゃってて」
「そんなことはないと思うんですけど、、、」
「そうなの」
これはチャンス?!
「先輩はどう思ってるんですか」
「え?!あー、私はねぇ。」
先輩は少し困ったような顔をしてコソッと耳打ちした
「最近ちょっと、酷いんじゃないかな?って」
随分オブラートに包んだな、と思った
言ってることと顔が一致していない。
さくら先輩は苦虫を噛み殺したような顔をしていた
ここまで言ったら止まらないとかんばかりに愚痴を撒き散らす
「いや、ね。ピッコロの練習もいいんだけど、フルートもしてもらいたいわけよ。そっちが本業じゃん?なのにしずかったら、、、」
飛びてできた言葉に口が空きっぱなしだ
まさかさくら先輩、そんな風に思ってただなんて、ね
「ねえ、まりちゃん、腹立たなかった?」
「へ?!」
突然話を振られ挙動不審になる
「ほら、この前さ、まりちゃんの前で『ピッコロ出来てきたかもぉー』とかって抜かしてたじゃん!」
興奮気味に訴えるので「はぁ」と相槌を打つことしか出来なくなってしまった
こんなさくら先輩を見るのは初めてのことだった
「先輩って、しずか先輩のこと、嫌いなんですか?」
「うーん。それとはちょっと違うかな。今、調子乗ってんじゃないの?って思ってるだけ」
何故だかその理由に私はしっくりきた
「あぁー」
ため息混じりの私の言葉に、さくら先輩は苦笑いした
「ごめん。喋りすぎたかな。びっくりした?」
「、、、まぁ、それなりに、、、?」
「あはは。まぁ、なんでもいいなよ、話、聞くからね」
「ありがとうございます。」
先輩の思ってることが知れて、少しホッとしたように感じた
「あ、さくら先輩!」
少し間を開けて振り返った先輩がまた歩いてくる
「?なぁに?」
「先輩は、オーディション、どっち応援してるんですか」
なんとなく、聞きたかった
答えはどっちでも良かった
私だと言われてもしずか先輩だと言われても頑張るつもりだし。
でもさくら先輩の言葉は予想外のことだった
「私は一生懸命練習している人を、応援するなぁ」
私はドキッとした
悪い事なんてしていないけど、図星だったかのように
やっぱり、油断しているのだろうか
冷たくてジトっとした汗が背中を流れる
おかしいな、寒い冬なのに
「やっぱり、努力が報われてほしいもんね」
そう言って軽く笑ってみせたその横顔は、酷く影を帯びて見えた

