そうと楽しい話で盛り上がっていたら、怒られた

朝っぱらから迷惑じゃあ

と。

いや確かにもりあがってはいたけれど

近所迷惑はあんただろ、爺さん

そんなこんながありつつ、中学校につく

皆、というか私達の学年が集まりつつあった

皆もやっぱりザワザワしている

私はあんとあいかの元に行き、「手紙書いた?」とコソッと言った

「あー!忘れたー」

あいかが自分の二つに束ねた髪を両手で引っ張った

「勿論持ってきたよ」

あんは得意気に親指を立て、そういえば、と言って机に向かった
. .
「あれ。出来たんだよ」

「!そうなんだ!良かったー、間に合って。」

そんな話をしていると、先生とかも来ていた
. .
あれ、とは。

しずか先輩へ渡すアルバムのことだ

頑張って先輩と一緒に仕上げた

楽しかったこと

辛かったこと

面白かったこと

悔しかったこと

感謝の気持ち

それらを全て詰め込んで

しずか先輩に渡すのだ



ぞろぞろと3年生の先輩も入ってくる

さあ、本番だ

もう、本番だ

先生が来た

こぐてぃーこと小口先生は言った

「これがみんなで奏でられる最後だから」



代わりなんていない

だから、今日が、ある意味最後

このメンバーは、最初で最後

出し切れ…!!








セッティングなども終わらせたら、楽器を出し、音出しを始める

様々な音が音楽室中に鳴り響き

ほかから聞いたら雑音、ノイズでしかないけれど、その雑音さえも今は尊く感じられる

透き通る



響いて

反響する

隣を見た

しずか先輩が座って吹いている

なんというか、不思議な気持ちだった

ブラックコーヒーに甘いミルクを少しずつ垂らしてマイルドにしていく感じの

そんな 苦さと甘さのマッチ

結局、しずか先輩はそういう立ち位置だったのだ

辛口で、厳しく指導する

悪くいえば

悪役

良くいえば

縁の下の力持ちのような

苦くて甘い人

そう、今は思っている

チューナーを見る

真っ直ぐ だ

時々少し、振れる

か、振れないか

絶妙な位置でピッチを固定した

ああ。あと1時間で始まってしまうんだ

城山中学校も北川中学校に来て、音出しをしている

もう本番

だから。私はー、、、、

悔いのない演奏をしたいだけだよ

そうは言った

定期演奏会だから、楽しまないと。

タイムリミットなんてもう無い

すぐそこ

あとは、目の前にある舞台に立つだけ

外に出る

体育館のドアの近くまで来た

拍手が聞こえる

そして、

扉が 開いた