「え…なっちゃん、薫さんが好きなの?」








「は、い…」








「…」








ご飯を食べながら、相談されたのは








薫さんの事だった。








どうやら、薫さんにも辛い過去があるらし








く、








「人を愛す方法」を忘れてしまったらしい。








そして、なっちゃんは








アタシに思い出す方法を考えて欲しい、と








言うのだ。








「…なっちゃん。」








「なんですか?」








「それ、アタシに相談することじゃない。」








「え、そうなんですか?」








「うん。」








「てっきり私、チョコちゃんと葵さんはお付








き合いしているのかと…」








「違うっ!」








アタシは、思わず声を荒げてしまう。








「チョコ、ちゃん…」








「あ…ごめん。感情的になりすぎた。」








「うんん。ごめんなさい。」








なっちゃんを、








怖がらせてしまった。








「で、も…人を愛すとは、どんな事なんでし








ょう。」








「…人を愛す、とは自己満足。」








「え…」








「でも、人を愛する事は自分だけではなく、








愛した相手の心も満たされる。」








「愛した相手の心も満たされる…」








すると、なっちゃんはいきなり席を立ち上








がる。








「ありがとうございます、チョコちゃんっ!








私、用事が出来たので、お先に失礼いたし








ます!」








「あ、うん。」








なっちゃんは、お金を置いて走り出した。








アタシはその背中を見つめた。








…好きな人、か。








アタシには…








絶対、出来ない。