由奈のお母さんの視線が俺に向いた。


真っ直ぐに向いたその目に俺は思わず目を逸らしてしまいそうになった。


音信不通になってしまった由奈へのこの不安な気持ちが間違いではなかったことを感じてしまったから。


「ごめんなさいね、、、冬馬君」


出来ることなら聞きたくない、、、そう思ってしまった。


「由奈のことで、、、冬馬君には言っておかなきゃいけないことがあるの。聞いてくれるかしら?」


由奈のお母さんの表情を見て何も言葉が出てこなかった俺はただ小さく頷いた。


「由奈は小さい頃から持病があってね、、、入退院を繰り返していたの。入院したままで幼稚園にも行けずにほとんどの時間を病院で過ごしていたのよ」


由奈に持病、、、俺の知らなかった事実。


「辛い治療も頑張っていたの、、、でも病院の先生には退院は難しいって言われていてね、、、それは完治の見込みがなかったからなのよ」


俺の知っている由奈は元気で明るい由奈だ。


「小学校に入学する歳になってね、由奈がね、泣きながら言ったの。もうこれ以上、入院はしたくないって、、、退院して小学校に行きたいって、、、」


「由奈の初めて見せた強い意思だったの」