こんなに弱った私を見て

哀れだと思っていませんか?





抗がん剤治療が始まると

やっぱり、辛くて

弱気になる




「また明日な」




真生さんが、言う





私は、毎日こんな姿を見せることが
いやでたまらない


きっと


真生さんは、私の前では平然としてても

吐きすぎてかれた声

細くなった手足

青白い顔を見て、本当は

辛くて、でも哀れだから

言えないんだよね


もう…来たくないとか…



「真生さん… 来なくていいよ…」


「弱気になってんのか?」


「違う… 迷惑なの」


「え…」


「毎日来られると迷惑なの!!」


「悪かった… 会いたくて、つい
キツイ時もあるよな
無理させてたなら、すまん」


真生さんは、申し訳なさそうに言った


迷惑だなんて酷いこと言ったのに
会いたくてとか、嬉しいことを言う


ポロポロと涙が落ちる


鼻水かと思ったら、鼻血で…


病気なんだ…って、また悲しくなってくる



「理江!ナースコール押したからな!」



「帰って!!もう、来ないで!!!」



「理江…」




バタバタと看護師が入ってくる


真生さんが、部屋から出される


もう… 来ない


もう… 会えない


酷いこと言ったから


私を嫌いになって、新しい恋をして


どうか…


幸せになって欲しい