西城家の花






「いえ、そんなことはありえません。むしろわたしのほうが大志様に色々ご迷惑をかけてるというか…、今日だってわたしの不注意であのような姿にしてしまって…大変申し訳ないです…」





「あれは美桜様のせいではなく、予報で降水確率100%だと知らせたのに傘も持って行かない大志がいけないんですわ」





「それにたとえ傘を持って行ったとしても、雨水なんかにあの子が怯むはずありませんわ」






ほほほと楽しそうに会話を続ける満と聖に恐縮しながら、美桜はうずうずしていた





実は、西城家に訪れるのは大志との婚約を正式に結ばれたあの日以来で、しかも両親が隣にいたので、今回のように一人で西城家の方々と一緒にいるのは少しだけ落ち着かない





そんな美桜に気付きもしない二人は穏やかに会話をしているのだが、突然何かを思い出したかのように聖が手をポンと叩いた






「そうだったわ、流水のみなさまに美桜様は無事大志が保護したことを伝えなければいけませんでしたわ。きっとみなさん、とても心配してるとお思いですし…」






そう言われてみればすっかりそのことを忘れていた美桜は、きっとものすごっく怒っているであろう母と中々戻ってこない美桜にオロオロしている村本の姿がはっきりと頭の中に浮かんできた






「それでは、わたしは流水の屋敷に連絡を入れてきますね」






ゆっくりと立ち上がった聖は会釈をすると、部屋から出ていくと、ほぼ同時に大志が部屋に入ってきたのだが、その姿に美桜は目を剥いた





さすがに先ほどのびしょ濡れの衣服から着替えたのか身に着けているものは違っていて、上はタンクトップで下はスウェットという簡易的なもので、袖のない上着からは大志の逞しい腕が露になっている





しかもお風呂上りなのか、髪の毛から水が少し滴っているが、先ほどのようにぐちゃぐちゃな感じではなく、ぺちゃんとなっているのだがそれもまた美桜にとっては目の保養である





頬も少し蒸気で少しだけ赤く染まっていて…というか全てにおいて男の色気が強すぎる今の大志は美桜にってあまりにも刺激が強すぎて、美桜はたまらず両手で自分の目を覆った





あのまま大志を直視していたら、確実に興奮で制御不能になり、最悪の場合鼻血を流して気絶してしまう恐れがある





そんなみっともない姿、大志と彼の家族の前に曝したとなれば美桜はもう一生彼らに顔見せ出来ない