性格はとってもよい、気性も荒くなく、おだやかで、少し抜けているとこもあるが、決して人を悲しませることはしない心が優しい子…




と言いたいのだが、現にその大志が今まさに父や姉を泣かせているのだから説得力のかけらもなかった





何故二人がここまで必死になって大志をかのご令嬢と婚約させたいのかというと、大志はもうすぐ18歳、つまり結婚適齢期なのだ




晩婚が進んでいる現代において、18歳で結婚は早いと世間はいうが、そんなの武道や芸道の家元にとっては関係なかった




先祖様たちが残してくれた名を後世にも残すためにはまずは結婚、そして後継ぎである




徐々に日本の古くからの文化が西洋からきた真新しいものに変わりつつある今でもその傾向が破られることはなかった




大志の母である聖も、16の時に西城家に嫁ぎ、娘である満も18でとある一族の嫁として送り届けた




今は事情があり西城に戻ってきてはいるが、今の問題は大志である




この息子ときたら毎日稽古稽古と明け暮れて、今まで一度も女性と関わってこなかったのである





何度か見合いらしい場は設けてみたが、相手の令嬢たちは大志の姿を見ただけで震え上がるし、酷いときは気絶までさせてしまった





当の本人も呆れるぐらい女性に興味がなく、ついこの間大志の部屋を掃除してた使用人が見つけたのが年頃の男子の部屋にあるべきはずのいかがわしい雑誌ではなく、武道の極意や、なんたら流の奥義など意味の分からないものだと聞いたときは頭が痛くなった





本当にこのままでは大志に嫁の貰い手がなくなるのではと一家総出で大志の嫁を探していた時に舞い込んできたのが流水流華道の家元のご令嬢との縁談である