「ごめんな。博貴。」
   
「別にええよ。気にすることあらへん。それより似合ってるで。その浴衣。」

雛乃の浴衣姿を上から下まで見る博貴。
   

「ほんまに?」


浴衣の裾を持ち上げ喜ぶ雛乃。
   

「章大もそう言ってくれてん。可愛いって。」


喜ぶ雛乃を切なそうに見る博貴。








パッ~ン。
夜空に大きな音。
空に綺麗な花が咲く。
   
   


「綺麗やな。」

花火を見つめる雛乃。
   
「雛乃。」

振り向く雛乃。
   


「俺、お前のことが好きや。」


驚きの隠せない雛乃。
   
「まだ章大のこと好きなんは知ってる。せやから忘れてくれとは言わへん。章大のこと好きなままでかまへん。章大のかわりでもかまへん。お前のこと好きやから。考えてみてくれへんかな?」

真っ赤に染まる二人の頬。
沈黙が二人を包む。
花火の音が遠くに聞こえる。
   
「返事は今じゃなくてええ。嫌なら断ってくれてかまへんから。ほな。行こう?みんな待ちくたびれとるわ。」

微笑む博貴。