りんご飴。焼きそば。フランクフルト。
ヨーヨー釣りに金魚すくい。
夜店がつらなる。
   
「なぁ。待ってや。歩きづらいねん。」

浴衣に足をとられ歩く雛乃。
   
「浴衣なんか着てくるからや。みんな待ってるやで。」

後ろを振り返る亮。
   

「そんなこと言うたって。」
   
「だいたいに似合わへんねん。そんな格好。」


人の多さにイライラを隠せない亮。
   

「亮のアホ。亮に章大の半分でも優しさないん?」


立ち止まり言い返す雛乃。
   

「好きな女やったらいくらでも優しくするわボケ。」


売り言葉に買い言葉。
   
「何やって。」

人ごみにつまずき転びそうになる雛乃。
   

「危ない。」


転びそうになる雛乃を支える博貴。
   
「大丈夫?」
   
「ありがとう。」

頬を赤める雛乃。
   
「亮。先行って俺ら遅なること伝えてや。こんな危なかしいの走らすわけあかんやろ?俺、雛乃とゆっくり歩いてくわ。」

雛乃から亮へと視線を変える博貴。
   
「それもそうやな。ほな。先行くわ。」

人ごみに消えていく亮。