薄暗い廊下にポツンとこぼれる一筋の光。
壁にもたれ座り込んでいる博貴。
近づいてくる一つの足音。
顔を上げる博貴。
「雛乃は?」
博貴の横に腰をおろす信五。
「大丈夫や。今は薬で眠ってる。」
「そうか。」
安心したのか溜息を漏らす。
「行ってやったら?」
「大丈夫ならええよ。」
強がっているかのような博貴の言葉。
その言葉を聞き流すかのように言葉を重ねる信五。
「みんなは?」
「亮の傍で寝てるわ。」
疲れた表情で病室を指差す。。
「お前も少しは寝ればええ。」
「亮がまたいつ発作だすかわからへんから。3時間おきぐらいに目を覚ますねん。さ
っきから同じことの繰り返しや。」
「俺が見てるよ。せやからちょっとは休めや。雛乃。一人にしてええんか?」
「わかった。ほな後は任すわ。何かあったら呼んでや。」
立ち上がり暗闇に消えていく博貴の後姿を見送る。
「ほんまに好きなんやな。」
呟く信五。
一点から照らされる暖かな光。
穏やかな寝顔の雛乃。
雛乃の手をギュッと握る博貴。
「ごめんな。」
雛乃の頬に手をあてる。
「ごめん…。」
切なそうに雛乃を見つめる。


