愛が芽生える場所

千斗先輩はまだ来ていなかった。

…と言ってもまだ10分前なんだけどね。

あたりを見渡すと長身のイケメンがいた。

もちろん、千斗先輩!

「せーんぱいっ!」

たまには、こういう話しかけ方もいいよね…?

「うおっ…びっくりした。って…おまっ…そのカッコ…」

え?カッコ……?カッコ…格好?服装ってこと?

やっぱり似合わなかったんだ…いつも通りの服装にすればよかったな…

「ううっ…ごめんなさいっ…に、にあわな「なんで謝んの?その…そのカッコ…可愛い。似合ってるよ」

私が"似合わない"と言いかけたところに千斗先輩が遮った。

そ、それに…可愛い、って。

「本当ですか!?に、にあい、ますか?」

「ああ。よく似合ってる。…でも、スカート短すぎ。ほかの男が寄ってきたらどうする!」

「そ、そんな…私なんて寄ってくるような男の人、いないですから!」

「いや、お前……少しは自覚しろよ…。ん。」

そう言って、千斗先輩は手を差し出した。

「…えっと………?」

「ばーか。手。繋いでねーとだめだろ。その短い丈じゃ。他のやつに絶対捕まっちゃいけねーから、俺から離れんじゃねーぞ?」

「わ、わかりました…」

恥ずかしいけど、嬉しい。

私は手を伸ばした。

──手を繋いだ。恋人繋ぎ。

私は初めての恋人繋ぎに少し緊張していたけど、千斗先輩の温もりはその緊張を不思議とほぐしてくれるようだった。