とは言えそれ以降話すこともなく俺は中学を卒業。

高1になっても、高2になっても諦めきれなかった。

しかし、そんな高2のある日、俺はバスの中で佐田さんを見つけた。

チェックの柄のネクタイ。白いブレザー。ネクタイと同じ柄のスカート。

間違えなく俺と同じ制服だ。

いや、俺はネクタイと同じ柄のズボンだがな。

その日はバスが混んでいて、席が空いていなかった。

二人席の隣はぽつぽつ空いていたが、知らない人の隣に座るのも癪に障るため、立っていた。

「良かったらここ座りますか?」

声をかけてくれたのは紛れもなく佐田さんだった。

「いや、いいよ」

言ってくれたとはいえ座るのは申しわけなく、断ったが…

「すみません、人の隣じゃ嫌ですよね…。」
「どうぞっ!」

と言って、荷物を持って立ち上がった。

「本当に大丈夫だから座ってて」

佐田さんはなんて優しいんだ。

好きという気持ちがさらに膨らんだ瞬間だった。