ムラオキテ

あたりは一気に不穏な空気になり、それを示すように、どんよりとした厚い雲が空を覆っていた。


「...あ、雨」


芽衣がつぶやくように言う。


たしかに雨が降り始めていた。


それはやがてゲリラ豪雨となり、辺りを包み込んだ。


「...ね、この雨、結構やばくない?」


萌莉が傘をぱきん、と開きながら零す。


「こんな傘じゃ、防げないって!

芽衣、うちおいで!あんたんち遠いでしょ!泊まってきなよ」


そういうと萌莉は芽衣の手を掴み、駆け出した。


バシャバシャと、騒々しい水の音。


周りにはもう誰もいなくて、みんなこの雨を見こんで家に逃げ込んだのだと、容易に想像がつく。


「きゃっ!!!」


萌莉の家まであと数メートルというとき、芽衣が転んだ。


ぬかるみに足を取られたのだ。


「...ちょっと!どうしたの」


「うっ...、いったぁーい。萌莉、先行きなよ」