世子様に見初められて~十年越しの恋慕



ソウォンがヘスの体に覆いかぶさるような格好をしている為、入り口にいる行首たちにはヘスの顔は見られていない。
あくまでも、ユルだと信じ込ませる為の芝居。
笛の音を聞けば、調べに出ているチョンアとユルも何処かに身を隠していると踏んだのだ。

遠ざかる足音を確認して、ソウォンは大きく息を吐いた。

「もう大丈夫です、世子様」

漸く安堵したソウォンはゆっくりと上体を起こし、自然にヘスと視線を絡ませた。
すると、ヘスは口元を緩め、そっと手をソウォンの背に当てた。

「そなたには、毎回驚かされるな」
「ッ!」

ソッチマ姿な為、辛うじて胸元は覆われているものの、明らかに肌の露出度が高い。
今までこんなにも素肌を露わにした事も無いのだ。
背中にヘスの手が添えられている為、隠れる事も逃げる事も出来ない。

目の前には蝋燭の淡い灯りに照らされた上半身裸のヘスが。
妖艶な眼差しで真っすぐ見つめられては、どうする事も出来ず……。

殿方の裸を見るなど破廉恥極まりない。
しかもそこには、そこら辺にいる男ではなく、拝顔する事さえ憚れるお方だというのに……。

ソウォンは無理やり服を脱がせ布団の上に押し倒し、自ら着ている服も脱いだ上、貴いお体に跨って。
挙句の果てには、肌と肌が触れあうように身を寄せたのである。

誰が見ても夜伽の最中にしか見えず、弁解の余地もない。

「ももももももっ、申し訳っごごごごっございませんっ!!」

ソウォンは渾身の力で布団から飛び降り、ひれ伏すように頭を床につけた。