ちょうど満月が雲間から顔を出し、丘高とあって煌々と月光が差す。
「では、一体……」
「世子様っ」
「どうした」
「あれは………?」
ソウォンが指差す先には、ソウォン達が泊まる客間の裏手に雑木林があり、その中に小さなお堂のようなものが見えた。
田舎の商団とあって、敷地は思ったより広い。
祠堂まで来ていなかったら、恐らく、気付かなかったであろう。
「参るぞ」
「はい」
二人は来た道を戻り、雑木林を目指す。
「こんな所にあるのは怪し過ぎるな」
「はい、かなり臭います」
お堂を前にして、ソウォンは深く息を吐く。
ヘスは戸に手を掛けた。
「鍵が……」
開けようとしても錠前がしてあり、開けることが出来ない。
すると、
「失礼します」
「ん?」
ソウォンはパジの結び目の内側から細い針金状のものを取り出し、錠前の鍵穴に挿した。
右に左に、抜き差しを何度か繰り返すと、見事に外れた。
「世子様」
「そなた、何者だ」
「っ……、それは、後程ご説明致します。今は一刻も早く、中を確かめねば……」
「………そうだな」
ソウォンは戸を開け、ヘスを中に促す。
入口に置いてある火打石で火を熾し、蝋燭を灯して。
「フッ、ここにあったか」
二人の目の前には百近い甕がびっしりと並べられていた。
ソウォンはすぐさま甕の中身を確認する。
「どうだ?」
「はい、同じ物です。ですが、一つ気になる点が……」
「………申してみよ」
指先を擦り合わせ、何度も確かめる。
幾つかの甕の中身を確認したソウォンは、一つの答えを導き出す。



