ソウォンは顔を隠すように垂れ下がっている薄絹をそっと捲った。
「おっ、そなたは……」
ソウォンの顔を見て驚くヘス。
まさか、こんな所で再会するとは……。
ヘスはすぐさま掴んでいる手を背中へと回し、ゆっくりと立たせた。
「手当てをせねば……」
「私は大丈夫です」
「大丈夫なわけないだろ」
チョゴリの布越しに血が滲んでいる。
ヘスはソウォンの怪我を気にして、近くにいるヒョクの姿を探していると。
「世子様はどうしてここに?」
「ん?………ここへか?」
「はい。王宮にいる筈なのでは……?」
「それは……。これには、事情があって……」
「…………そうですか」
部外者が口を挿むのは無粋というもの。
しかも、それが世子なのだから、声を掛ける事すら憚れる。
ソウォンはヘスからそっと離れると、
「まずは、怪我の手当てを先に……」
「ご心配には及びませぬ」
「そなたが大丈夫でも、私が平気でいられぬのだっ!頼むから、手当てを……」
ヘスは懇願するような表情を浮かべた。
ソウォンにしてみれば、大した怪我ではない。
剣術の練習をしていれば、怪我は付き物。
幼い頃から飛び回っているせいか、自分が両班の娘だという自覚が薄れている。
ヘスはヒョクの姿を見つけ、目配せすると。
「お嬢様っ、どうされたのですか?!」
血相を変えたユルが現れた。
しかも、ソウォンを抱えているのが見知らぬ男ときたものだから、その視線は明らかに鋭い。
「ユル、このお方は……」
「んっ、ん……」
ヘスはソウォンの口を塞ぐように咳払いをした。
そこへ、ヘスの護衛が姿を現した。



