一哉は今でも忘れない。 「ねぇ、一兄ちゃん。」 夕日が沈む頃、二人は家の近くの丘の上にいた。 「ん、どうした?」 「一兄ちゃんは…殺し屋さんになるの?」 幼いさくらでも自分の父親の仕事くらい分かっていた。 「急にどうしたんだよ。」 小学3年生になった一哉にも質問の意味が分かっていた。 「一兄ちゃんは怖くないの?」 さくらが真剣な眼差しで聞いていた。 少し間を空けて一哉は答えた。