教室の前でさくらは深呼吸をする。
「おはよう」
何とか自分なりに優しい女の子を演じた。

「おはよ、さくら」
「遅いじゃん!」
クラスの皆がさくらに声を掛ける。
話の話題は昨夜のニュースで持ち切りだった。

「ねぇ、昨日の見たぁ?」「殺人事件でしょ?」
「この辺なんだってよ」
「嘘〜怖い」
「さくら知ってる?」

話の話題がさくらに向けられた。
「えっ…あッあんまり知らないかな」
とぼけた振りをする。

「そっかぁ、さくらは塾で大変だもんね」

「まッ…まあ──」
知っているも何も関係はおおありだ。

何故なら───