誰しも一度ならず十も百も経験したことがあるだろう。久しぶりの休日に昼まで惰眠を貪ったことが。
 けれど、世の人々全てがずれた生活を楽しむ訳ではない。なかにはせっせと広報活動に勤しむ者達もいて、ピンポーンとおそらくにこやかスマイルを浮かべながら呼び掛けてくる。微睡みに身を任せたいところだが、宅配業者の困った事情を昨夜のニュースで聞いたばかりだともしかしたらの可能性に良心が痛む。
 半日も動かずにいたツケである怠い身体を引きずりながら受話器をとり耳をすます。インターホン独特の通信音をバックに聞こえてきたのは...