*好きと言えない俺様王子*

「そしたらさ、椿ちゃん顔赤くしながら黒瀬君って人見ててさ」

 え!私そんなに分かりやすいですか!?

「正直嫌だった。見てらんなくて、校門に逃げてきたんだ」

 里紅君はため息をついて空を仰いだ。

「そっか……そうだよ、その通りだよ。私の好きな人は……黒瀬君。これは揺るがないんだ」

 そう、たとえ日が西から東へ昇ろうと

 例え地球の自転が東から西になろうと

 黒瀬君が好き。

 これは変えられない絶対的な想い。

「ねぇ、僕じゃだめなの?」

「うん、里紅君じゃだめなの……ごめん」

 次の瞬間、強い風が通った気がした。