*好きと言えない俺様王子*

「もしかして……僕のこと、嫌いになった?」

 里紅君は王子様みたいな笑みで言った。

 うーん、青原君がトラウマになったのかな、王子様スマイルには裏がある気がしてならない。

 ってそうじゃない!

「違う!違うの!里紅君を嫌いになったんじゃなくて……他に好きな人がいるの」

 最後の方は声が出なくて、弱々しくなった。

「ふーん……じゃあ、今着てる男物のブレザーもその人から?」

「あ……えっと、これはね……」

 そう、そうなんだけどこれには事情が云々……

「知ってるよ。僕さっき見ちゃったんだもん。黒瀬君、だっけ?と掃除してるとこ。椿ちゃんがプール掃除するって聞いて、手伝いに行こうと思ったんだ」

 えぇ嘘!?黒瀬君に夢中で全然気がつかんかった!