*好きと言えない俺様王子*

「つっめたぁ……」

「悪い、ホースを強く握りすぎ……た……」

 俺は言葉を失った。

「……っ!おい……」

 髪から滴る水、火照った頬。

 そして制服のYシャツから透けるピンク色。

 あまりにも扇情的過ぎる姿に、クラっとした。

「どうしたの、黒瀬君?顔赤いけど……」

 そのままずいっと近づいて来るもんだから、俺は困った。

 こいつ……無自覚かよ……

 つーか危機感なさすぎ、無防備すぎ。

 これが俺じゃなかったら……青原みたいなやつだったら、また襲われてんぞ。

「別に……いいから、これ着とけ!風邪引くぞ!」

 俺は置いてあった自分のブレザーを渡した。

「え、濡れちゃうよ!」

「いいから。ぜってーにそれ脱ぐんじゃねーぞ。いいな。絶対だ」

 俺は強引に着せると、ホースの片付けにとりかかった。