*好きと言えない俺様王子*

 俺はだんだん、自分の不安定さにイライラしてきた。

 椿と話しているとなぜか心拍数が上がって、椿が緋波と話しているとなぜかイライラして。

 はぁ……誰かいい病院紹介してくれ。


 放課後、俺は日直ということでプール掃除をする羽目になった。

 ジャージなんか持ってきていなかった。

 制服が濡れるのが嫌だから、さっさとやってしまおう。

 少し遅れて椿が来た。

「わ、遅れてごめん、黒瀬君!里紅君と話してたらこんな時間に……」

 ……なんだそれ、ムカつく。

 あぁ、まただ。

 椿が緋波と話しているときにやってくるアレ。

 この襲ってくる症状の正体が分からねー。

 椿はローファーと靴下を脱ぐと、ホースを持った。

「じゃあ、ちゃっちゃと終わらせちゃおう~!」

「そうだな」

 とにかく椿の言うとおり、早く掃除を終わらせよう。