「――………千尋」
この声は理央君?
重たい瞼を開ければ、見覚えのある景色。
ここクリニックの診察室だ…
少し痛む左腕を見れば止血テープが貼られていた。
「千尋、なんで病院行ったって嘘ついた?」
あぁ…
理沙に嘘ついたのバレちゃった。
「寝不足も酷いし、ずっと熱も高いんだって?何で来なかった?」
何で理央君が怒っているのか意味分かんない。
別に病院に行きたくなかったわけじゃない。
本当はこんなに酷くなる前に言おうと思っていた。
だけど言えない事情が出来たから…
「ハァ…口あるでしょ?話せないの?」
「熱なかったから…」
「はぁ?何言ってんの?ふざけているようなら本気で怒るよ?」
「……理央君に関係ないじゃん!!ほっといて!!」
「待て千尋!」
診察室のベッドから起き上がって
近くにおいてあった鞄を手にしてクリニックを飛び出した。
家に帰る途中、ずっと理央君の顔が浮かんだ。
久しぶりに怒られた…
しかも逃げて来ちゃった…
もう別れるとか言われるのかな…
その日の夜は、朝より体は楽になっていたけど勉強する気になれなくて
すぐに眠りについた。

