「っ、」

堪えていた涙が次々に頬を伝った。

私最低だ。

今日、祐君との初デートなのに。

なのに私……祐君とケンカしちゃったよ。



事の発端は30分前。

「祐君!祐君!」

「ん?」

「今度、あっち行こ」

初デートだからすっかりハイテンションな私。

「うん」

そう言う祐君だけど、言葉とは裏腹になぜか表情は不機嫌

だ。

「、祐君大丈夫?」

心配になって声をかけると。

「帰りたい」

「えっ!?」

思いもよらない言葉が祐君の口から飛び出した。

「じゃぁ帰れば?意味わかんない!私、初デートだから楽

しみにしてたのに…………祐君なんか大っ嫌い!!」

「っ!莉菜!?」

気づいた時には走り出していた。



「祐君」

自分で最低な言葉を言っといて泣くなんて。

「莉菜!!」

「っ!?」

幻かと思った。

だって。

私の目の前に大好きな祐君がいるんだもん。

「ごめん」

気がついたら祐君の腕の中にいた。

「ごめん。俺、あんな事言って」

「っ、祐君…、私もごめ……」

ごめん、と言う声は祐君に塞がれてしまった。

……、祐君の唇によって。

「っ!?」

そっと離れた唇に祐君の吐息がかかる。

「祐、君!?ここ、ショッピングセンターだよ」

急いで、辺りを見回すと非常階段の近くで、祐君と私の二

人きりだった。

恥ずかしすぎて、祐君から顔を逸らした。

きっと今、私顔真っ赤だ。

「俺、何にも考えてなくて……」

「っ、祐君があやまんないでよ。私が祐君の気持ちを考え

てなくて……」

「違うんだよ」

「えっ?」

私の声をさえぎった祐君は、

「莉菜の事見てる他の男の視線がイヤで」

「?」

予想もしない言葉にビックリして祐君を見ると……。

か、顔が真っ赤だよ、祐君!

ヤバい!
か、カワイイ!!

それに、あの理由って。
し、し、嫉妬なのかな。

その時、バチっと視線が絡んだ。

「っ、」
「………」

な、何かしゃべってよ!

無言で見下ろす色っぽい祐君の瞳に余計にドキドキする。

「だから、二人で過ごしたいって思って」

「!?」

祐君……。

それなのに、私は祐君にあんなこと言っちゃった。

「うっ、ぅ」

「莉菜、泣かないでよ」

祐君が優しく私の頭を撫でる。

「大丈夫。莉菜は悪くないよ」

祐君が優しい笑みを浮かべた。

「祐君………」

ギュッと、祐君を抱きしめた。

「ふふ、大好き」

「……、莉菜」

「何?」

そう言って、顔を上げると。

「俺は愛してるよ」

「っ、なななななな、何言って!!」
ニヤリと、意地悪な笑みを浮かべる祐君。

あっ、と思ったらキスされていた。

「っ、ゆ…、く、ん」

何度も角度を変えてキスが繰り返される。

「、んッ、ァ、」

苦しくて、口を開いたら祐君の舌が滑り込んできた。
「、ァっ」

ヤバい。

溶けちゃいそうだよ。

そして唇が離れた時には、なにもかも溶けきったんじゃないか、なんてバカな事を思った。

「…、カワイイ」

「っ、」

「絶対離さないから」

「、私も…、絶対に離れないよ」



 不器用で、だけどとっても優しい私の彼氏
 そんな祐君が私は大好きです!!