「で、先輩は何が言いたいんですか?はっきり言ってくれないと、私分かりません」
「……鈍感」
「はい!?」
「何でお前はそんなに鈍感なんだよっ!」
「誰が鈍感なんですか!」
「お前だっつってんだろ!橘 千草!」
「なっ!先輩が分かりづらいんですよ!いっつもいっつもワケ分かんないし!」
「だからそれが鈍感だって言ってんだよ!鈍感バカ!」
「バカって言ったほうがバカなんです!」
ゼーハーと肩で息をしながらお互いにお互いを睨み合う。
人が行き交う道中でこんな口喧嘩をしている私達がきっと誰よりも大馬鹿だ。
「獅坂先輩」
「な、何だよっ」
「今日は獅坂先輩のお誕生日だったんですね」
「何で、お前……」
「遅くなってしまいましたが、お誕生日おめでとうございます」
「………ふん、遅すぎ」
「先輩はどうして今日、私と一緒に過ごそうと思ったんですか?」
「………」
頬だけでなく耳までも真っ赤にした先輩は、相変わらず眉間に皺を寄せたまま視線を逸らしてしまった。

