『昨日も言ったよね?ちーちゃんはもうちょっと獅坂先輩のことちゃんと知ってあげた方がいいって』


「言ってたけど、意味がよく分からんかったからスルーした」


『スルーしてんじゃねえ」


「ごめんなさい……」


『わかればよろしい。とにかく、ちーちゃんは頑固すぎるよ。獅坂先輩はちーちゃんが思ってるほど嫌な人じゃないと私は思う』


「なんで?」


『それは私に聞くよりもちーちゃん自身が知りたいと思って行動する方がいいでしょ』


「なにそれ……」


『ちーちゃんはさ、まだきっと獅坂先輩のことちゃんと見えてないんだよ。だからそうやって小さいことにモヤモヤしちゃうんだよ』


「うーん……」


『はい、私の助言はここまで。あとは己の力で頑張りな』


「え、うそっ!無理だよ!」


『無理じゃない、じゃーね』


「ま、待って、せめて今日が何の日か……!」




私の言葉は最後まで届くことなく電話がプツリと途切れてしまった。


結局何も教えて貰えなかった。わけがわからないままだ。


はあっと深くため息を吐いて項垂れる。




「先輩が嫌な人じゃないって、どういう意味……?」




ますますワケが分からん。


あんな上からな先輩のどこがいい人なんだ。