「お前も雑誌とか見たら」
「いえ、雑誌はあまり見ないので」
「ふーん……」
獅坂先輩はちょっと残念そうに視線を下げて、さっきまで読んでいた雑誌を閉じてしまった。
「じゃあ、どんなの読むのか教えろよ」
「うーん、小説とか漫画とかなんでも読みますよ」
「今読みたい本とかねえの」
「この間好きな作家の最新巻が出たらしいので、今日はそれを見たくて」
「なら早く言えよ」
「だって先輩はあんまり小説とか読まなさそうだったから……」
「ったく、今日はお前に付き合うって何回も言ってんだろ。遠慮なんかしてんなよ」
そう言って先輩は私の脳天ににチョップ攻撃を食らわせた。
「……あの、ずっと気になってたこと聞いていいですか」
「ん?」
「どうして今日、先輩は私を誘っ……じゃなくて、付き合ってくれてるんですか」
「は?だって今日は……」
「………?」
「分からないなら、いい」
「え?何なんですか、教えて下さいよ」
「知らん、いいからお前の見たい本探すぞ」
雑誌コーナーをあとにして先輩と小説コーナーへと向かう。
その間にもモヤモヤとした気持ちだけが膨らんでいった。
何で私がこんな気持ちにならなくちゃいけないんだ。
先輩はいつだって上から目線にわがままなことばかり言うのに。
振り回されるこっちの身にもなって欲しい。
ああもう!むかつく!

