「お前、今失礼なこと考えてるだろ」
「そんなことは断じて」
あるけど。
「嘘だね、さっき目見開いてたくせに」
「そんなに私の顔見てたんですか?」
「な……っ!べ、別にそんなんじゃねーし!たまたま見えただけでっ!」
「ふーん」
「疑ってんだろ!」
「いーえ、別にー」
「むかつく……っ」
そんなこんな話しているうちに駅前の本屋に到着した。
先輩と一緒にブラブラと店内を歩き回る。
どうやら先輩は小説や漫画を見るよりも雑誌を見るほうが好きなようだ。
そういえばモデルをしてるって聞いたことあるし、当然といえば当然なのかも。
改めて、雑誌を読む先輩を下から徐々に上へ視線を持っていきつつ眺めてみる。
黙っていればカッコイイんだよな、見た目は。
女子が騒ぐのも分からなくはない。
暫くじっと見ていると、やがて視線に気がついた先輩が思いっ切り顔を顰めて私を見た。
「何だよ」
「いえ、何でも」
ちょっとは笑えば愛嬌もあるのに。
なんて考えていたことは心の中に留めておこう。

