「ところで、先輩」
「ん?」
「私達は今、どこに向かってるんですか」
「知らん」
「はい!?」
「今日はお前の行きたいところに付き合ってやるつもりでいたし」
「何なんですかもう……誘ったのはそっちなんですから考えといて下さいよ」
「は?誰が誘ったって?」
「先輩が誘ったんでしょ!?」
「俺は一日何の予定もないっていう可哀想なお前のために付き合ってやるって言っただけだろ」
「相変わらずですね先輩は……」
「ふん。分かったらさっさと行きたいとこ決めろよ」
「何で上からなんですか」
「当たり前だろ」
「もう……」
本当に、何なんだ、この先輩。
むかつくのに流されてる自分もどうかと思う。
「じゃあ私、本屋に行きたいです」
「ん、わかった」
珍しく素直だ。
てっきり本屋なんかつまんねーから嫌だ、とか言われると思ってた。

