「………」
「先輩?」
「そんなに、俺と一緒にいるの嫌かよ」
「……嫌ってわけじゃ………」
「じゃあ何だよ」
「せ、先輩はいつも強引すぎるんです」
「は、はあ!?そんなのお前だって強引だろうが!」
「はい!?私がいつ強引だったことがあるっていうんですか!」
「保健室で初めて会った時も……!」
「え……?」
「………っ」
「先輩、覚えてたんですか」
「………っ」
「先輩?」
「もうその話はいい!とにかく行くぞっ」
クルリと前に向き直った先輩は足早に先を歩き始める。
先輩はいつもそうだ。
肝心なところで言葉を濁して、私からあっさり背を向ける。
そのくせ、私がもういいやって背を向けたら今度は後ろから呼び止めてくる。
意味わかんない。
いつもいつもそうやって私の心を掻き乱す厄介な先輩だから、私は……先輩が苦手なのだ。

