ガチャ
寝室を開けると、ベッドの布団がビクッと動く。
「起きてるのか?」
返事はない。
「布団に潜ったままだと、苦しくなるぞ。」
言いながら布団を外す。
抵抗することなく布団が外れる。
うつ伏せになってはいるものの、目はしっかり開いているかな。
「どうした?」
『ううん…。何でもない。』
瞼を閉じて返事をするかな。
「そんなことはないだろ。
話してみろよ。」
そう言いながらベッドに腰掛ける。
かなは再び目を開け、ゆっくり口を開く。
『……共に生きるって…こういうことなんだね…。』
「ん?どういうこと?」
『この心臓と一緒に、共に生きて行こうって、そう誓った。
けど、食事や運動制限だけでなくて、こんなことにもなるなんて…。
大変なことなんだなって。』
「…そうだな。本当にな。」
今にも泣きそうなかなの頭を優しく撫でる幸治。
その優しさに我慢していた涙が、鼻を伝って、布団に落ちる。
かなは幸治の膝の上に顔をうずめた。



