あれから二時間くらいが経っただろうか。





目の前にはいつもの豪華な主治医の先生方が並ぶ。






全ての結果が出揃った。








「今回の血液検査などの結果だけどね。」






進藤先生がゆっくりと言葉を放つ。









これは吉と出るか…凶と出るか…。








「貧血ではなかったよ。







様子を見ないと分からないんだけど、もしかしたら動物によってアレルギーが出てるかもしれない。」







真面目な話をする時の進藤先生は、いつもの優しい顔は一切ない。









『動物…。』








「うん。今までにはなかった?」








『ありません。施設にいた頃は犬を飼ってましたけど…。触っても平気でした。』







「そうか。そうなると…。」







真面目な顔の進藤先生が、後ろにいるお父さんの顔を見る。







えっ!?なになに?







「これはたまにあることだから、怖がらずに聞いてね。」






進藤先生の次はお父さんの説明。








「ドナーにアレルギーがあった可能性もある。こちらで調べておくけど、それがかなちゃんに心臓を移植したことで、体質が移ったんだと思う。」








へ?そんな教科書で「ごく稀に…」という言葉の後に続く症例が、まさか私に!?






「アレルギーかどうかは今後の症状や発症回数を見ながら判断していくけど、むやみに動物に近付くことはやめて欲しい。なるべくアレルギーで発作が起きて欲しくないんだ。







喘息につながる可能性も十分にあるからね。」







動物に触る機会なんてないけど…。でもまたも私に課題が増えた…。







「アレルギーは皮膚に湿疹や蕁麻疹が出る以外にも、体の中で起きる方があるんだ。






でも、体の中にある方が危険な場合もある。自分でも気づかない間に症状が進んでることもあるからね。






今回はアレルギーの薬で怠さを改善していこうね。」







そう進藤先生が真面目な顔から笑顔になりながら話す。







今更笑ってくれても、私には笑えない…。顔が怖がっていることは間違いない。







「まぁ、何でも何かあったらすぐに言うことだな。」







助けをだしてくれたのか分からないけど、石川先生が口を開いた。







「言わないと俺も気づけないからな。」








顔はいつも子供達に見せている顔ではなく、私が怒られてる時の顔に近い…。







子供には優しいけど、私には…。

















そんなこんなで検査結果が出て、薬を受け取り、今日は1人早くバスで帰ることになった。