未知の世界5


「これ。






帰るまでやっておけ。」







回診後、何も怒られる訳でもなく、無事に医局へ戻ると、大量のカルテが渡された。






本来なら、すでにカルテ整理は私がやるべき仕事。それも勤務後に。







でもそれは毎日、指導医である石川先生がやってくれていた。






時間内ではあるが、カルテ整理を任されたことに、ホッとする。






私も一つステップアップしたんだ…、と。








あれ?まてよ?








でも…。








隣の席の石川先生を見る。









「俺は外来やらに行ってくる。今日はここでそれだけやってろ。」








『え…いや…その、私も石川先生と…』







「ダメだ。今日は安静にしてろ。」







『え?』








「え?じゃねぇぞ。







体調悪いんだろ?」







……調子悪いの、お見通し…。







それ以上何も言えない。







幸い医局には私と石川先生しかいないから、どこかしらホッとしている。








昨日の帰り際からずっと疲れがたまってる気がする。







あれから調子が悪い気がする。